「何年間、無事故でご案内」というショップはあるけれど、私のショップは、、、、

日本のダイビング事故が時々ニュースになりますね。
プーケットでは「何年間、無事故でご案内」なんて宣伝をしているショップがあります。
でも私のショップはというと、、、
正直、私のショップでは事故は起きています。
ただ、死亡事故のような重大の事故ではありません。
それでもダイビングをパスしなければならないような、事故は起こっています。
私のショップで起きた事について少しお話して、今後の参考にしていただきたいと思います。

事故例① オニヒトデに刺されて、病院へ

最近起こった一番心配だった事故はオニヒトデです。
プーケットのオニヒトデはとても色鮮やかできれいです。
ただ、猛毒なのには変わりありません。
ゴマモンガラのように、襲ってくるわけではありませんが、数が増えているので普段から心配はしていました。
そのオニヒトデのとげに、お客さんがぶつかってしまった事故が起こりました。

事故のあらまし

日時:2025年11月○日 12:30ごろ
本数 : その日の2本目のダイビング
時間 : 潜り始めて5分程度したところ
場所 : ラチャノイ島マンタベイ
ツアー名 : ラチャノイ島ラチャヤイ島3ファンダイビング
【お客さん】
性別 : 男性
年齢 : 30歳代前半
経験本数 : 20本程度
Cカード : オープンウォーターダイバー
最終ダイブ : 5年ほど前
海況 : 透視度15m程度、波なし、晴天

その日はなかなか耳が抜けなかった

そのお客さんは30歳代前半のカップルで、ファンダイビングを申し込まれました。
ただ男性の方はその日の1本目から、なかなかうまく耳が抜けませんでした。
2本目のダイビングも潜降を始めましたが、なかなか耳が抜けずにいました。
マンタベイは、砂地の上6m程度で潜降ができるので、その時はロープを使わずにフリー潜降してもらいました。
女性の方は何の問題もなく、水底の砂地に先に下りて待っていました。
フリー潜降でしたが、私も一緒に付き添いながら、BCDを時々つかんで持ち上げたりして、ゆっくりと潜降しました。
多少時間はかかりましたが、それほど心配な潜降ではありませんでした。
そろそろ水底が近くなって「オープンウォーターダイバーだし、もう大丈夫だな」と判断した私は、先に水底で待っている女性の前に行って、ガイド役に戻りました。

オニヒトデにあたった時の様子

ちょうど少し先にチンアナゴが見えて、女性が砂の上を徐々に前に進んだ時でした。
後ろを振り返り、男性の足元を見ると、小さなサンゴの上にオニヒトデがいました。
腿がオニヒトデにつきそうだったので、慌ててお客さんを引き上げました。
「ウエットスーツが触れただけであってほしい」と願いながら、スレートを使って「痛みがないか?」確認をしたところ、「わずかに痛みがある」という返答でした。
ほんの少しだけ、ウエットスーツの上からオニヒトデのとげが刺さっていたようです。

オニヒトデの毒は、、、

オニヒトデは沖縄などで、サンゴを食い荒らすために駆除されています。
その様子は時々ニュースでも取り上げられたので、ダイバーでなくてもご存じの方が多いと思います。
同時にオニヒトデがとても猛毒であることも、よく知られていると思います。
そのとげに刺さると、激しい痛みや嘔吐を引き起こし、ひどい場合は死に至る例もあるそうです。
そんなニュースを見ていたので、お客さんが刺されたとき、10分しか潜っていませんが、急いでダイビングボートに戻りました。

オニヒトデに刺された時の処置

ボート上では、ツアーリーダーに連絡をして、熱湯につけたタオルを患部に当てる処置を施しました。
オニヒトデの毒を和らげる効果があるそうです。
とげの跡は数か所あって痛みはありましたが、幸い気分が悪くなったりするひどい症状ではなかったのがなによりでした。
ダイビングボートにはコーヒーなどを飲む、給湯器があるので、こまめにお湯を変えて熱い布を患部に当て続けました。
ネットもつながったので、オニヒトデに刺さった時の対処法を調べると
「40〜45℃程度の「熱めのお湯」に30分〜90分程度、患部を浸けて毒(タンパク毒)を分解して痛みを和らげます。」
と書いてあったので、3本目のダイビングもパスしてもらい、90分以上熱めのタオルを当て続けました。

病院で医師の治療

帰りのボートの中でお客さんに聞くと、「足が重い感じがして、患部に痛みはある」と言っていましたが、緊急を要するような症状は現れませんでした。
それでも港に着いた後、すぐにプーケットタウンの私立病院に向かい、処置を受けました。
幸い、日本人の友人が通訳の仕事をしているので、事前に症状を話し、担当医に説明もしたうえで、受け入れをしてもらうことが出来ました。
救急治療室に案内され、ベッドの上で医師がピンセットのようなもので、患部を押すと、とげはすぐに抜けました。なので、切開などの大掛かりな手術をすることなく、薬をもらってその日のうちに帰ることが出来たのは幸いだったと思います。
海外旅行保険も使うことが出来て、キャッシュレスで病院を後にすることが出来ました。

同じ失敗を2度と起こさないための、ケーススタディ

今回のケースでは、耳抜きができないお客さんが、潜降ができてほっとした瞬間に、急に深度が落ちてしまい、そこに不運にもオニヒトデがいたのが原因でした。
ただ、ガイド役の私も、お客さんが泳ぐコース内に、危険生物がいないかどうかをよく確認すべきだったと思います。

徒然草の「高名の木登り」でも、足が地面につきそうな高さが一番危ないと言っているように、ふっと気が緩んだ時が一番危なかったんだと今になって思います。
体験ダイビングでは、足が砂に着く高さまで、耳抜きに注意を払っていますが、ファンダイビングのお客さんだからもう大丈夫と思ったところに、気の緩みがあったんだと思います。

オニヒトデに限らず、ウニもそこら中にいます。
お客さんにスレートを使って、指示を出したり、コース取りを変えたりする工夫をやっているつもりでしたが、さらにもっとしていかなければならないと痛感しました。
幸い、命に係わるような大きな事故にならずに済んで、本当に良かったと思います。