海外旅行で体調を崩すと最悪ですね。
ある調査では、毎年海外旅行者の20%~50%が下痢になっているそうです。
私も香港に行ったときに、屋台のタピオカジュースを飲んで、翌日のたうち回った記憶があります。

プーケットでも食あたりや食中毒は、よく聞かれます。
ではどのような料理を食べて、食あたりや食中毒になるのか?
定説となっている対策は本当に正しいのか?
プーケットの現状に当てはまっているのか?などをご紹介したいと思います。

原因は包丁です

ケバブ

まず最初にご紹介したい料理は、ケバブです。
最近パトンやプーケットタウンにも、写真のような肉の塊を見るようになりました。
このケバブ、とてもおいしそうに見えるのですが、ちょっと注意が必要です。

私の友人に、プーケットの私立病院の日本人スタッフがいます。
一週間に一度会うたびに、今どんな病気が流行っているのかを聞くことにしています。
そのなかで昨年あたりから、ケバブを食べた観光客が食中毒になったケースが増えているらしいと話していました。
とある日は、3組の日本人が病院へやって来て、話を聞くと、みんなパトンのケバブを食べたこともあったそうです。
最近、私のダイビングのお客さんもお腹を壊して、「ケバブ食べませんでしたか?」と尋ねると、ずばり「食べました」と言う答えが返ってきました。

実はこのケバブ、ケバブの肉が痛んでいたり、問題があるわけではないようです。
原因は、ケバブの肉をそぎ落としている包丁に問題があるみたいです。
パトンなどでケバブが売っている店舗は、人通りの多い軒先で、直射日光が当たるようなところにあります。
肉がこんがりして見えて、とてもおいしそうなのですが、この環境では包丁などについた雑菌が繁殖してしまいます。
プーケットは南国ですから、高温多湿のなかで、包丁やまな板を水で洗っていないようなところでは、どうしても雑菌が繁殖してしまい、それをたべて食あたりになったケースが多いようです。

フルーツでも同じです

実はケバブに限らず、包丁についた雑菌が繁殖して、食あたりになるケースはフルーツの場合でもおこります。
ビュッフェなどで、おいしそうなカットフルーツがお皿に並んでいるのはよく目にすると思います。
スタッフが厨房から運んできて、すぐに食べれば特に問題はないですし、プーケットのフルーツをぜひ味わってほしいと思います。

ただ、遅い時間にビュッフェにやって、残り一切れになったようなスイカなどは気を付けた方がよいでしょう。
特にエアコンの効いた部屋ではなく、オープンエリアなどのレストランなどでは、注意した方が良いと思います。
厨房で調理されたとはいえ、時間がたてばフルーツについた雑菌も繁殖してきます。
それを食べてしまうと、やはり食あたりになるケースは多いようです。

判断基準は、食事が置かれた環境と時間

このように書くと、「ケバブとフルーツが危ない」と勘違いしてしまう方も多いかもしれません。
でもそれは違います。

せっかく海外に来たのですから、いろいろな料理にチャレンジしてほしいです。
ケバブはとても人気のある料理ですし、フルーツもタイは安くておいしいですし、種類も豊富です。
ぜひ味わってほしいものです。

そこで判断基準になるのは、調理されている環境です。
ケバブなどは、包丁が無造作に直射日光に当たっていて、洗っている様子もないようならば注意が必要でしょう。
フルーツも時間が経って、温まってしまっているようならば、控えればよいことです。
何に注意すればよいのかを知っていることが、とても重要だと思っています。

包丁以外で注意すること

プーケットは一昔前から比べれば、ずいぶんと衛生的になったと思います。
20年ほど前に私がプーケットに来たときは、レストランでもテーブルを触るとなんだかべとべとしていたり、タイ人も食事する前は食器やスプーン・フォークをティッシュで拭いていたのを覚えています。
それから比べれば今はとても衛生的になっていて、テーブルについても不衛生な感じがしません。
コロナになってからは、さらに衛生管理の意識は高まった気がします。

唐辛子はお腹を壊す原因です

タイは辛いものが有名な国ですね。
南国は常に気温が高いので、辛い物を食べて発汗をよくして、身体の内側から体温を下げていくのがその理由だそうです。
ただその辛さは尋常ではありません。
辛いものが得意と言っている人でも、唐辛子をわしづかみにして料理に使うことはないでしょう。
タイの唐辛子は、わしづかみにして、それをすり鉢に入れて、つぶして料理に入れるのは当たり前です。

日本人が唐辛子を料理に使うと言えば、一味唐辛子や鷹の爪のように乾燥した赤トウガラシをイメージすると思います。
ただタイ料理でトウガラシを使う場合は、生のトウガラシを使います。
しかもトウガラシをつぶして使うことが多いので、辛い部分が料理全体にいきわたります。

唐辛子は食べた瞬間に辛いのは当たり前ですが、少量ならばおいしさの引き立て役にもなります。
ただ大量に食べすぎると、下痢の原因になることも多いです。
また唐辛子がきいた料理を食べた翌朝は、排便の時にお尻が痛いなんてことはよくある話です。

タイ料理で、辛い料理と言えば

ガパオライス

最近日本でも有名になった、ガパオライス。
これはタイ料理の中でも、辛い料理の代表です。
日本では味付けはマイルドにしていると思いますが、プーケットでもローカルな場所に行けば、お皿がトウガラシで真っ赤ということはよくあることです。
注文の時に、「辛くしないで!」と言っても、タイ人の辛くないは、日本人にとっては激辛レベルですから、「プリック(タイ語でトウガラシ)」と言った後に、指で1をさせば、程よい辛さになると思います。

ソムタム(青パパイヤのサラダ)

これも最近日本ではメジャーになっていると思います。
沖縄あたりではパパイヤが取れるそうですから、街中のスーパーでもパパイヤを目にすることも多くなったようですね。
ソムタムはタイの東北料理を代表する、家庭料理です。
青パパイヤがメインですが、その中にインゲンも入ります。
このインゲンと青トウガラシの色が、同色なので、インゲンと思って口にした瞬間に、口から火を噴くような辛さということはよくあります。
またソムタムは先ほど話したように、すり鉢の中にトウガラシをわしづかみにして入れた後に、パパイヤなどの野菜類とあえていく料理の代表です。
ローカルでは、塩漬けにしたサワガニを入れて、コクを出すソムタムプーと言うのも一般的ですから、これもやはり気をつけなければいけない原因の一つです。
ソムタムを頼むときは、サワガニを入れないソムタムタイを注文して、青トウガラシに十分気を付けてください。

ヤムウンセン

茹でた春雨のようなウンセンと、シーフードなどをあえてサラダ風にしたのが、ヤムウンセンです。
パクチーなどの香草もきいていて、どことなくエキゾチックな味もするので、日本の方にも人気なのではないでしょうか?
ただこの料理も赤トウガラシや青トウガラシがたくさん入っていることが多いです。
これも注文の時に「プリック(タイ語で唐辛子)」と言った後に、指で1をさしておくのが良いです。
これを忘れてトウガラシが入ってしまうと、すでにトウガラシがつぶれて、種があちこちに散らばっていますので、辛さを抑えることはできなくなりますので、ご注意を!

トムヤムクン

昔からタイを代表する料理と言われてきたトムヤムクン。
世界の3大スープの一つになっていますので、タイではとても一般的な料理です。
トムヤム味は味噌のようなペーストもあって、澄み切ったスープにそれを溶かせばトムヤム味になります。
見た目は真っ赤ですが、上の料理ほど、辛い料理という印象はありません。
特に外国人もよく注文しますので、外国人相手のレストランなどは、辛さも酸っぱさもほどほどにになっていると思います。

レッドカレー・グリーンカレー

日本ではカレーは辛い料理の代表ですね。
ただタイのカレーと名がつく、レッドカレーやグリーンカレーは、ココナッツなどが入ってマイルドな味わいになっています。
むしろカレーと言う名前ではなくて、ゲーン(タイ語でカレーの意味)とつく料理は激辛なものが多いです。
ローカルなレストランに入ってグリーンカレーでも、ゲーンキアオワーンとタイ語になっていたら、その辛さに驚くかもしれません。

定説になっているもの

水と氷

販売している水タンク

海外旅行に行ったら、とにかく水と氷に注意しなければならないのは、どんなブログにも本にも書いてあることです。
日本のように、水道水が飲める国はほかには、そうそうありません。
国によっては、不衛生な環境で水道水が汚れていたり、硬水や軟水などによっても、下痢になるケースがあるそうです。
氷も同様で、そんな水道水で作られた氷入りの飲み物を飲めば、下痢になってもおかしくないと思います。

ではタイ・プーケットはどうでしょうか?
タイ人で水道水を飲む人はまずいません。
飲料水や料理に使っている水は、写真のようなボトルで買っている水を飲んでいます。

氷も同様で、コーラやウイスキーなどのグラスに入れる氷は、すべて口に入れても良い氷を使っています。
形は円筒形で、真ん中に穴が開いているものが多いです。

ただ物を冷やす氷も販売しています。
1m四方はありそうな大きな氷を、クラッシャーにかけて粉々にしたのを、大きな袋詰めにしています。
セブンイレブンなどのコンビニに行くと、コーラなどの自分で注ぐ機械の横には、かき氷のようになって出てくるものもありますが、これは飲んでも大丈夫なものです。
基本的に、食べて大丈夫な氷と、食べてはいけない氷は、形が違いますから判断がつくと思いますし、レストランや屋台でもけっして危ない氷を提供することはありません。

水も氷もタイ人がしっかりと、安心なものとそうでないものを区別して使っていますので、観光でプーケットを訪れた時、水や氷でお腹を壊したということは、まずないと思います。
ちなみにタイ語でも、飲み水は、ナームドゥーム(飲料水)
手などを洗う水は、ナームチャーイ(生活用水)
と別れていますので、この2つを同じように使うことはないと思って下さい。

歯磨き

では歯磨きの時に口をゆすぐのに、水道水を使っても大丈夫か?という記事もよく目にします。
プーケットも場所によっては、水道水が茶色かったり、においがする場所もあります。
そんなところではやはり、歯磨きの時は、水道水は使わない方が良いかもしれません。
最近のプーケットのホテルでは、無料のボトル水が数本、冷蔵庫や洗面台に置いてありますので、それを使うと良いでしょう。
ただちなみに、私は日本と同じように、水道水で歯磨きもしていますし、うがいもしますが、全く問題がありません。

サラダ

サラダもブログによっては気をつけなければいけない、と書いてある記事があります。
たしかにサラダは水洗いしてから調理しますから、その水が飲料水用の水を使っているのか?
ただの生活用の水道水を使っているのか?はわかりません。

ただ先ほど私は歯磨きは水道水を使っています、と書きましたが、プーケットの場合、サラダについた水でお腹を壊すことはごくまれだと思います。
それならば、シャワーを浴びたり、プールに入ったり、海で泳いでいても水を飲んでしまうことがあります。
その方がよっぽど危ないとおもいます。
これも先ほどのケバブやフルーツと同じように、サラダでも、包丁を使って調理されたものが、時間が経って細菌が増えたケースもあるので、そこを注意したらよいと思います。

シーフード・牡蠣など

プーケットはシーフード料理がとても有名です。
店先に大きな船に氷を敷き詰めて、その上にシーフードが乗っている店をよく見かけます。
プーケットに来たら、ぜひシーフードを味わっていただきたいと思っています。

ただ日本も同様でしょうが、シーフードも注意が必要です。
あまりお客さんが入っていないようなレストランは、避けるべきでしょうし、必ず火を通した料理にすることも鉄則です。

ただ生ガキについては、タイの太平洋側のスラータニ県などは特産物になっています。
プーケットにも運ばれてきて、レストランで格安で提供しているところもあります。
私のプーケットの友人で、大の生ガキ好きがいて、何度も挑戦しているそうですが、何度か当たったことがあるそうです。
プーケットの生ガキが危ないというよりも、生ガキを食べる時は、日本でもプーケットでもそれなりの覚悟が必要だと感じました。

屋台

プーケットにはレストランばかりでなく、屋台もたくさんあります。
ラーメン、お菓子、フルーツ、ガパオライスなどを調理してくれるような屋台もあります。
東南アジアの屋台と聞くと、なんだか不衛生なイメージを持つ人もいるかもしれませんが、けっしてそうとは限りません。
水を近くの水道からホースで引いていたり、ガスボンベを積んでいたり、電気を引いていたり。
レストランのように空調はきいていませんが、衛生面はそれほどひどいわけではありません。
写真のようなシーフードや、焼き鳥などを、その場で焼いて、近くのテーブルに座りながら、コンビニで買ってきたビールと一緒に食べるのは、アジア旅行の楽しみのひとつでもあります。
雰囲気満点です。

ブログなどには「屋台の料理は絶対に危険なので、食べないように!」などとありますが、火を通してあるものならば決して危険でないと思います。
また先ほどお話ししたように、水も氷も食べられるものを使っていますので、その点も心配はないと思います。

猫や犬

プーケットには意外とオープンエリアのレストランが多いです。
日本人は空調がしっかりきいた、外のほこりなどが入ってこない室内を好みますが、欧米人はオープンエリアのレストランやカフェを好みます。
そんなオープンエリアのレストランでは、店内に犬や猫が歩いていることもあります。
日本では信じられないでしょうが、そこで飼っているものもいれば、道路から入ってくるような犬や猫もいます。
日本人観光客は、日本では街中に犬も猫も歩いていませんから、ちょっとかわいがって頭や体を撫でてしまう人も多いです。
たださすがに衛生的になったプーケットでも、犬猫まではそうはいきません。
動物を触った手で食事をするのは、絶対にやめておきましょう。

おしぼりは出ません

日本ではお客さんが入ってくると、おしぼりにお冷が出るのは当たり前ですね。
コロナになってからは少し変わって、アルコールを置いてある店も増えたと思います。

プーケットでは、おしぼりは出ません。
というかおしぼりを出してくれるような国は、日本以外にはないのではないでしょうか?
それをわかって、日本の人はよく、ウエットティッシュを持参していますね。
プーケットのレストランでも、コロナになってからアルコールのボトルが置かれるようになりました。
ただそれ以前から、洗面所がしっかりあって、そこで手を洗っていました。
上でもお話ししましたが、テーブルやお皿やスプーン・フォークをティッシュで拭く心配はもうないでしょうが、食事をする前に手はしっかり洗っておくのが良いと思います。
決して不衛生な水が出てくるわけではありませんし、ソープもありますから安心です。

もし食あたりなどになってしまったら

食あたりによる、下痢や嘔吐は、食べたものや細菌の種類などによっても異なるそうです。
早いもので30分。
ただ一般的には6時間程度で症状が現れることがおおいようです。

30分ごとにトイレに駆け込んで、上から下からと、お腹の中のものがすべて出ていくようならば、病院に行った方が良いと思います。
プーケットには海外旅行保険が使える大きな私立病院が3か所と、国立病院が2か所あります。
バンコク病院プーケットなどの私立病院には、日本人スタッフも常駐しています。
パスポートと海外旅行保険証を持っていけば、キャッシュレスで見てもらうことができます。

またそこまでひどい下痢や嘔吐がなければ、近くの薬局に行って薬を買うこともできます。
私立病院で処方されるような薬も、プーケットの薬局では手に入れることができます。
英語になりますが、症状をスタッフに話せば、適切な薬がもらえると思います。
英語が苦手でも、簡単な単語とジェスチャーだけでも、十分にわかってもらえると思います。

いろいろと書いてきましたが、海外旅行といっても地域によって様々です。
私はプーケットで生活をしていますが、ここは比較的安全な所だと思っています。
さらに、海外旅行で定説になっているようなことを守っていれば、確かに食あたりになることも少ないかもしれません。
ただせっかく日本を離れて、海外旅行に来ているのですから、いろいろなことにチャレンジしてほしいとも思います。
そのときに、どこに注意をすればいいのか?
プーケットの現状をお話ししてきましたから、それを参考にして、楽しいプーケット旅行にしていただけるとありがたいです。