日本滞在も1か月が過ぎました。
世の中がどんどん便利になってきましたが、逆に高齢者だけだと、いろいろと困ったことも出てきます。
90歳の両親と暮らして気づいた、そんな出来事を少しご紹介したいと思います。
パソコンやスマホが使えない高齢者は、どうしたらいいの?

今の世の中はどんどんデジタル化していき、スマホを持っていないと生活できなくなりました。
「情報はQRコードを読み取ってください」とニュースでも当たり前に言っていますし、市役所の広報にもQRコードが掲載されています。
ただ便利に感じているのは、パソコンやスマホを使うことができる世代の話。
パソコンやスマホを使うことができない高齢者にとっては、カタカナの専門用語が並ぶ今の社会は、ちんぷんかんぷんのようです。
「安いプランに切り替えましょう」「でもNetflix契約をお願いします」???

例えばケーブルテレビの話。
もう30年も前からケーブルテレビのサービスを行ってきたJcomと言う会社は、固定電話のサービスも一緒に行っています。
1階に住む両親も、2階の弟家族と一緒に、このケーブルテレビと固定電話の契約をしています。
当初の契約は弟がしたと思います。
普段使うときは、別にテレビのスイッチを入れるだけなので、高齢者の両親も全く困ってはいませんでした。
ただケーブルテレビのチューナーが古くなったので、新しいものと交換をしなければならないという連絡が、最近来たそうです。
そこでちょうど私が帰国しているので、一緒に話を聞いてもらおうと、スタッフの方に訪問する日を約束しました。
おそらくチューナーの交換だけならば、それほど難しくはなかったかもしれません。
ただJcomのスタッフの方から、契約しているプランの見直しを提案されたのが、困りものでした。
「今までのプランは高かったので、安いプランに切り替えましょう」と、とても親切な提案でした。
ただそれには、Netflixの契約が必要でした。
Netflixって言われても、高齢者の両親はさっぱりわかりません。
「1ヶ月だけ契約すれば、その後はスマホから簡単に解約できます」と言われても、高齢者の母親にはスマホのどこのボタンを押していいのか、さっぱりわかりません。
スマホは弟が母に持たせていますが、電話と知り合いからのメール、それと家族のLINEがやっと使える程度です。
そんな母親に弟は、「知らない人からの通知には答えないように」と強く言っているそうです。
そんな両親だったので、スタッフの方が丁寧に何度もスマホの操作を教えてくれましたが、結局ちんぷんかんぷんのままでした。
あきらめたスタッフの方が、「それならば電話をしてくれれば、私が解約します」と言って、ようやくプランの変更ができました。
マイナンバーカード申請は「スマホを使えば、簡単にできます」と言われるけれど、、、
おなじように「スマホを使えば、簡単にできます」と言われるものにマイナンバーカード申請があります。
マイナンバーカードは数年前は、市役所にも申請ブースがあって、誰でもそこに行って相談すれば、カードが作れました。
ただ「マイナンバーカードなんて?そんなわけのわからないものを作りたい」「今のままでも生活できるならばそれでいい」と思うのが高齢者です。
なので、実家の両親も「2万円分の特典がもらえます」なんて甘い誘いはありましたが、マイナンバーカードを作らずにいました。
えっ、マイナンバーカードがないと、病院で診てもらえないの?!

それがここ最近急に、「今後はマイナンバーカードがないと、病院で診てもらえなくなる」なんて言うのはひどい話だと思います。
実際マイナンバーカードを使った保険証の切り替えも、高齢者には難しいです。
今までは保険証は紙のものが郵便で送られてきたので、それを病院に持って行けば難しいことはありませんでした。
ただ、マイナンバーカードを作らないと、病院にもかかれないとなったら、死活問題です。
そのマイナンバーカードを作るのも高齢者には負担です。
高齢者がマイナンバーカードを作るのは、それはそれは大変です!
まずマイナンバーカードってなんだ?というところから始まり、それを作るのもパソコンやスマホの操作が必要です。
そんなパソコンやスマホが高齢者に使えるわけはありません。
ではそれ以外の方法で作るにしても、作り方の情報はホームページを見てください。なんて言われます。
そのホームページの見方も、高齢者はわかりません。
市役所に行くのも、介護の父親を置いて一人ではいけません。
結局今回は、私が一時帰国していたので、両親の顔写真をスマホで撮ったりしながら、申請を行いました。
ただこれを高齢者が申請しろと言うのは、酷な話だと思います。
高齢者にとっては、封書の書類を読むのも大変!

ではパソコンやスマホを使わずに、郵送で書類が送られてきたら高齢者でも大丈夫なのか?と言うと、それもどうかと思います。
先日は日本年金機構から高齢者向けの申請書類が送られてきました。
障害者認定などを受けていると、控除される大切な書類ですと書かれています。
でもその書類を読むことも、高齢者になるととても大変です。
封書で、数枚の書類でしたが、情報は紙にびっしりと書かれていました。
最近はだいぶ工夫されていて、すでに印字されているものを確認するだけの箇所もありますが、あまりに項目が多すぎて、どれが自分に当てはまるのか?結局見過ごしてしまいます。
高齢になると、何をするにも億劫になって、若いころのようには身体も頭も働いてくれません。
何かを見て考えることも面倒になるのがわかります。
それは上記のような特別なこと以外にも、日常生活でも起こってきます。
今まで当たり前に動いていたものが、ある日急に使えなくなることもあります。
当たり前に動いていた電化製品が、急に故障したら
去年一時帰国した時に、炊飯器が壊れてしまいました。
ずっとコンセントにつないで使っていたのを、うちの嫁さんが安全のためにとコードを抜いたのが原因でした。
そして今年の6月は、冷蔵庫が壊れました。
そもそも氷が作れなくなっていたのが、冷凍庫の温度がマイナスに下がらなくなってしまいました。
高齢者の両親はとりあえず冷蔵室が使えるので、そのままにしていたそうです。
電化製品だって、長く使っていれば故障も出てきます。
大手家電量販店は駅前に行けばたくさんあるのですが、そこに行くのも面倒ですし、店員さんから説明を聞いても何を買ってよいのかもよくわからないと思い、そのままにしていたようです。
分かってはいても、どの業者に頼んだらいいのか?どうやって探したらいいのか?

またエアコンも家を建て替えてから10年近く、一度もメンテナンスをしていませんでした。
エアコンの掃除をしなければ、カビがついたり、冷えなくなるのはわかっていても、どの業者に頼んだらいいのか?その調べ方がわからなかったみたいです。
今はスマホがあれば、エアコン掃除の会社はすぐに見つかります。
グーグルマップで検索すれば、情報がたくさん出てきます。
口コミを見ても良いですし、くらしのマーケットなんていう便利なサイトもあるので、料金もおよそわかります。
でも高齢者にとってはこれも大変な作業です。
電話や訪問販売のように、売り込みをかけてくる業者もありますが、高齢者を狙った詐欺まがいも問題になっているので、なかなか頼むことができません。
当たり前のことが、だんだんできなくなってくるんだ~
高齢者にとって、毎日が同じようにすぎるだけでも、買い物をしたり、食事を作ったり、介護をしたりと大変な日々です。
そこにちょっとした変化が起こると、それはもう大変なことで、どんどん後回しになっていきます。
便利な世の中になって、パソコンやスマホでたくさんの情報を得ている私たち。
でも高齢者にとっては、逆に不便になっているんだなと感じるようになりました。