今日もさわやかな天気のプーケット。
木陰に入ると、うとうとと眠たくなりそうです。

より安全なエキジット方法について

さて今日はエキジットについてです。
プーケットのダイビングスタイルは、ボートダイビングになるので、水面に顔を出してから、ボートに上がるまでの、エキジットの注意事項などをお話ししたいと思います。

ダイビングは自然の中で楽しむレジャー

気持ち良い晴天、風もほとんどなく、波もないときのエキジットはそれほど難しくはありません。

ただ時には激しい風のために波が高い時でも、ボートに上がらなければならないことも出てくるかもしれません。

レギュレーターを咥える

天候が悪い日 高波の日

波が高い日でも、島周りの大きな湾(例えばラチャノイ島のバナナベイなど)で潜れば、そこは島が風をよけてくれるので、ほとんど波はありません。

ただ小さな島(例えばピピ島のビダノックなど)や外洋ポイント(マリンパークのキングクルーザーやシャークポイントなど)では、風をよけてくれる島がないので、高波で船が大きく揺れる中を船に上がらなければなりません。

そんな時に必ずすべきことは、レギュレーターを咥えることです。(スノーケルでも構いません)
これは高波の中でも水を飲まずに済むこと
あとはフィンを脱ぐときでも、顔を水面につけてフィンが外せることのため、とても重要です。

高波の日には、水面で待つお客さんに、ボートスタッフは「レギュレーターを咥えて!」と叫ぶのですが、それを聞かずに水を飲んでパニックになるお客さん(日本人以外に多い)は意外と多いです。

マスクはボートに上がるまでつけておく

ダイビング マスク

普段のダイビングでも水面に上がった途端に、マスクを外す人は多いです。
特に日本人以外の国の人にその傾向が見られます。
インストラクターも当たり前のようにマスクをすぐに外します。

これが波の穏やかな日ならばいざ知らず、高波の日でもマスクを外してエキジットしようとします。
波が顔にかかって目が開けられず、もちろんそんな人はレギュレータも咥えていないので、もうアップアップ。
スタッフの指示も頭に入ってこない状態で、ほとんどパニックになりかけている人がほとんどです。

日焼けやマスクの跡が気になる人もいるかもしれませんが、マスクはボートに上がるまでつけておく習慣は、大切だと思います。
PADIのテキストにもそう書いてあります。

高波の時にボートはどうなるのか?

では実際にダイビングボートに上がるときのお話をしたいと思います。
その前に高波の時にボートはどうなるのか、ご存じでしょうか?

まず高波の時は当然ですがボートは大きく揺れます。
全長が長いボートほど、船が波に乗り上げたとき、船尾は高波で大きく上下します。

プーケットでは、ボート船尾の両端に、はしごがあります。
はしごとはしごの間には、船底にダイバーが入り込まないように、防護の柵があります。
そのはしごと柵も、ボートと一緒に大きく上下して、2m近い高波の時には、私はそのはしごと柵が、ギロチンに思えたりします。

そんな中でも船に上がらなければならないことが出てくるかもしれません。

自力で上がらなければならない場合

エキジットの時、フィンを自分で外す

1m程度の高波の場合は、自力で上がることになります。
その時はまず、大きく上下するはしごを、片手で軽くつかみます。
がっちりつかんでしまうと、自分も大きく振り回されてしまうためです。
波は必ず周期的にやってきます。
波の上下に注意しながら、フィンを片方ずつ外して、船上にいるスタッフに渡します。

はしごは垂直な部分を必ずつかむ

ダイビングボートの船尾のはしご

両方のフィンを外した後、はしごを上がるのですが、その時に絶対気を付けなければならないのは、はしごに指を挟まないことです。

どういうことかというと、はしごは蝶番で引きあげられるようになっています。
波が高いとはしごが持ち上がった時に、ダイビングデッキとの間に隙間ができます。
(写真のはしごは安全な構造になっています)
慌てていて、ダイビングデッキに指を置いた瞬間、はしごに挟まれてしまうという事故は以前にもありました。

はしごは垂直の部分を必ずつかんで、上がることがとても重要です。

船尾にロープが伸びている場合

次は2m程度の高波になっていた場合です。
天気が急変して、水面に顔を出したら、暴風雨になっていたなんてことも稀に起こります。
雨も激しく、大きな船が木の葉のように揺れています。

船が近づいてくると、こんな日は必ず船上のスタッフがロープを投げてくれます。
というのも船もうかつにダイバーに近づくと危険だからです。

BCDの空気は少しだけ抜いておく

マスクとレギュレータを咥えて、BCDの空気はパンパンにはせず、若干空気を抜いておき、水面でも少し体が動かせる状態にしておきましょう。
そしてロープを取ります。
そのロープを慌てずに手繰り寄せて、船に近づきます。

慌ててはしごをつかむのは危険

ただ早く上がりたいからと言って、すぐにはしごをつかんではいけません。
はしごをつかんでしまうと、身体が振り回されて、とてもフィンを外せる状態ではなくなってしまうからです。

スタッフがフィンを外すまでは、はしごをつかまない

こんな高波のときは、船尾についたはしごの1mほど手前で、ロープをつかんで待ちます。
待っている間に、ガイドかスタッフがフィンを外してくれます。
フィンを外されたのを確認したら、またロープを手繰って、はしごに取り付き、必ず垂直の部分を持って船に上がります。
ただこの時もレギュレーターとマスクはつけておきましょう。
そしてはしごが大きく上下しても慌てないことが重要です。

フィンを足元まで持ってゆく

また船に上がっても、船は大きく揺れていますので、転倒しないように注意しましょう。
あともう一つ、外された自分のフィンを確認しておくことも忘れずに。
船の構造によっては、波が船上まで上がって来て、水の勢いでフィンが流されてしまうということもあります。

エキジット方法を必ず聞いておく

エキジットの方法は、潜る前に事前にガイドやインストラクターから話を聞くはずです。
ただ自然のことなので、上がってきたらその方法が変わるかもしれません。
そんな場合でも必ず、船に上がる方法を確認してください。
すでに高波の中でその話を聞く場合もあるかもしれません。

また水面には多くのチームが漂っていて、同じタイミングで大人数がエキジットしなければならないこともあります。
その場合ロープをつかんで、ダイバーが数珠なりになることもあります。

臨機応変になりますが、その場その場で船上のスタッフやインストラクターの指示に従うことが、なにより安全なエキジットには必要です。

補足で

フィンは自分で素早く外せるようにしましょう

今お話ししたように、エキジットではフィンを外すのに手間取ることはとても危険です。

フィンのタイプはストラップ型やフルフット型など様々です。
ただ自分が使うフィンは、例えレンタルフィンであっても、自分で外せるようにしてほしいと思います。

潜る場所によっては、例え波が全くないときでも、フィンはスタッフやガイドが外してくれるところもあるようです。
そこでダイビングに慣れたお客さんは、エキジット用のはしごに両膝を付けて、フィンを外しやすいようにすることが当たり前になっています。

ただ今お話ししたように、高波の日にはしごに両膝を置くことはできません。
普段から自分のフィンは、自分で素早く外せるようにしておくことが、自分の身を守ることになると、私は思います。

残圧を残して上がる

波が高いときは、今お話ししたように、必ずレギュレーターを咥えて水面で待ったり、ボートにエキジットすることになります。

スノーケルを咥えることもありますが、プーケットでは講習以外では、スノーケルを付けないことが多いです。
というのは、スノーケルは水中で使うことは一切なく、特に流れが強いときなどは、スノーケルが耳元でぶるぶる震えて、邪魔になることが多いからです。

ただその代り、プーケットでは残圧はできるだけ50barを残して上がるようにしています。
もし波の高いときでも、スノーケルの代わりにレギュレーターを咥えて待ってもらうからです。

普段の習慣が、悪天候の時にいかされる

ダイビングは自然の中で楽しむレジャーとお話ししましたが、自然は時として怖い顔を見せることもあります。
そんな時に落ち着いて行動できるかどうかは、普段の習慣が大きくかかわってきます。

晴れ男さんや晴れ女さんは、こんな悪天候の中でダイビングをしたことがないかもしれません。
でも幸か不幸か、こんな中で船に上がる経験をしたことがある人は、私はラッキーだと考えています。

自分のことは自分でできるようにしておく、そんな心がけが重要だと思います。