今日、プーケットダイビングにご案内したのは、1年半ほど前にファンダイビングラチャノイ島ラチャヤイ島を潜っていただいた、S様。
いったん日本に帰国されましたが、またタイ在住者になったので、今回はアドバンス講習を受講されました。
ただお仕事が忙しいので、2日間潜らなければならないアドバンス講習ですが、とりあえず今日1日3ダイブだけの講習となりました。
学科は事前にオンライン学習で済ませてきたので、今日は潜るだけ。
今日は講習がしやすい、ラチャノイ島ラチャヤイ島にご案内しました。
1本目はいつものように、ラチャノイ島のバナナベイ。
もうすっかり西風に変わっていたので、バナナベイはとても穏やかでした。

アドバンス講習の1本目は、ピークパフォーマンスボイヤンシー。
英語だとわかりにくいですが、中性浮力と言えばよくわかりますね。
ダイビングで最も重要なスキルです。
ただ講習中でもこんなタイワンカマスの大群に出会うこともあります。
じっくり魚と一緒に遊びたいところですが、そこは講習なので、ほんのちょっと楽しむだけにしてもらいました。

中性浮力については、私のショップの場合、ファンダイビングのお客様にもダイビングスキルアドバイスを行います。
ただアドバンス講習となると、ファンダイビングのように泳いでもらって、アドバイスをするだけ、というわけに行きません。
ウエイトを増減して、BCDの使い方を学んでもらったり、写真のように水中で前転したり後転したり。
アクアディスクなんていう水中フリスビーみたいなものを使って、遊びながら中性浮力の練習したりと、盛りだくさんです。

あれこれと練習をしてもらいましたが、実は今日のお客様のS様は、呼吸がちょっと粗かったです。
下の写真を見てもらうと、大きな泡がバフっと出ていますね。
息を吸った後、若干息を止めて、そのあとに大きく吐き出すパターンでした。
そのため、あえてバナナベイの浅場、水深4m程度のサンゴエリアを潜っていただき、呼吸を止めることで体が浮いてしまうことを実感してもらいました。

下の写真は、2本目に潜ったフリーダムベイの浅場です。
吐き出す息の泡の大きさが格段に違いますね。
とても細かい泡になっています。
1本目が終わった後に、1本目のダイビングのフィードバックをして、呼吸の話も詳しくしました。
S様自身も「呼吸は思いっきり吸っていいの?」「全部吐き出していもいいの?」と疑問を持っていたみたいです。
浮力と呼吸の関係を頭で理解すると、スキルアップもしやすいですね。

2本目は、アンダーウォーターナビゲーションをしました。
写真はコンパスを使って、四角形ナビゲーションをしているところです。
コンパスって使い方がなかなか難しいんですよ。
まず海の中で、コンパスを水平に保つのが難しいです。
浮力をとりながらですからね。
あとは、北を指す黒い矢印が、本当は2本の爪の中にしっかり納まっていなければならないんです。
ただS様の1回目は、写真のように黒い矢印が、2本の爪からずれた位置のまま泳いでしまったんですね。
結果、四角形でスタート位置に戻ってくるはずが、三角形でスタート位置に戻ってきてしまいました。

そしてもう一つは、下の写真のように顔が前を向いて、コンパスを見ていなかったんです。
これってよくあるパターンなのですが、最初にコンパスで目標位置を確かめたら、コンパスを見ずに目標位置を見ながら泳ぐ方法です。
これって透明度が良かったり、目標物が多ければ役に立つ方法です。
でもせっかくの講習なので、透明度が悪かったり、砂地のように目標物がないことを想定して、コンパスナビゲーションをして欲しいとお願いしました。
人って、特に大人になると、失敗をしたがらないものです。
でも失敗した方が、より理解が高まったり、スキルが上がるものだと私は思っています。
アドバンス講習をスタートするときにはいつも、「たくさん失敗をしてください!」とお願いしています。
今日のS様も、1回目のナビゲーションはうまくいきませんでしたが、2回目はしっかりと元ラインまで潜ることができました。
失敗が成功に結び付く、良い例だと思いました。

これはアンダーウォーターナビゲーションを終えて、浅場のエダサンゴのエリアを潜っているときの写真です。
きれいなトリムをしています。
フィンキックがとてもきれいで、上手に水をとらえていました。
吐き出す泡も細かいですし、視線もしっかり前を向いていますね。

これは3本目に潜ったプーケットのラチャヤイ島の沈船の上。
アドバンス講習の初日で、まだディープダイビングをしていないので、18mまでの深度で沈船の周りにいるキンセンフエダイの大群を楽しんでもらいました。
もうすっかり余裕の表情なのがわかるでしょうか?

3本目の講習内容はボートにしました。
ボートはこれといったスキル練習がありません。
なので2本目には実施しなかった、ナチュラルナビゲーションをしていただきました。
私をお客さん役に見立てて、3分間の往復ガイド役です。
海の中の構成物や魚、それに光や音や砂紋など使って、3分間進んだあとに、同じコースを戻ってもらいました。
こんなカマスの群れにも途中であったのですが、S様は黙々とコースを確認しながら泳いでいました。
スタート位置に完璧に戻ってこれて、とても素晴らしいかったです。
潮の流れや深度、泳ぐスピードなどについても、船に上がってきてからフィードバックしました。

他ショップでアドバンス講習を行ったお客さんに「講習はどんなことをしました?」と尋ねても、「何したっけ?」なんて答えが良く帰ってくるものです。
ファンダイビングにちょっとスキル練習をしただけ、なんてショップが多いみたいです。
ただ私のショップは、そうはしません。なんたって元体育教師の私。
一つ一つの練習をして、きっちりフィードバックもして、スキルアップしてもらうようにしています。
次回は6月頃になるそうですが、その時はディープとドリフトと、あと1本はファンダイビングを、ピピ島マリンパーク3ファンダイビングで行おうと思っています。