オニヒトデに刺された男性の話も含め、いくつか事故についてブログにアップしました。
それを読んでいる方の中には、このショップは大丈夫なのか?
予約はやめておこうかな?と考えた方もいるかもしれません。
でも私は、事故や危険なことがあっても「それに気づかない」「何にも考えていない」方が危ないと思っています。
また、失敗を学習して、成功に変えていくことが重要だと思っています。
今回は、私のショップで毎回行っている、事故防止についてご紹介したいと思います。
器材セッティング

器材セッティングは、本来ダイバー自身がするべきもの
オープンウォーター講習では器材セッティングはダイバー自身が行うと教えています。
でも本当にお客さんが器材セッティングをしているショップが、プーケットの中にどれだけあるかというと、実はほとんどないと思います。
それはスタッフがお客さんの器材セッティングまでやってしまうからです。
体験ダイビングならば、当然スタッフがします。
でもファンダイビングのお客さんの分までも、インストラクターやガイドがしてしまいます。
それはどうしてか?
その方が楽なんです。
お客さん自身がすると、時間がかかりますし、教えなければなりません。
スペースも取られます。
それならば、スタッフが器材セッティングをしてしまった方が、時間の削減にもなりますし、面倒もかかりません。
お客さんには「器材セッティングはサービスでしておきますから、ゆっくりしていてください」と言われれれば、お客さんも悪い気はしませんし、得した気分にもなります。
器材セッティングを人任せにしてしまう危険
でもこれって本当にサービスなのでしょうか?
潜る直前になって、初めて自分の器材に触って、急かされるように器材を背負ったら、十数歩も歩いたらもう海の中!なんて考えただけでも恐ろしいですね。
だから、私は時間がかかっても、お客さんに器材セッティングをしてもらっています。
自分が使う器材の安全を確認することはとても重要です。
レギュレーターのマウスピースは切れていないか?
BCDに空気は入りやすいか、抜けやすいか?
タンクに空気はしっかり入っているか?
残圧計の針はしっかり動くか?
などなど
潜る前に自分が1つ1つをチェックしておくことはとても重要です。
でも、器材セッティングをしっかり覚えているダイバーは、ほとんどいないのも事実です。
だからこそ、オープンウォーター講習以上のチェック項目を、お客さんに説明しながら、一緒にチェックするようにしています。
よく他のインストラクターから「奈良のお客さんは、講習なの?」と尋ねられますが、ファンダイビングだからこそ自分の身は自分で守れる術をお伝えしたいと思っています。
マスクを磨く

マスクの曇りはストレスで、危険でもある
マスクの曇りは、ダイバーだったら誰でも経験しているはずです。
鼻呼吸をしたり、日焼け止めを塗りすぎたりと、いろいろな原因でマスクは曇ります。
マスクがいったん水中で曇ってしまうと、楽しくないばかりか、ストレスになったり、ガイドが見えなくなったり、安全にもかかわります。
よく「俺についてこい!」なんて言っているガイドのお客さんのマスクが、真っ白という光景を目にします。
透明度のない日などは、お客さんは潜っていて、怖くて仕方ないと思います。
マスクの曇り止めは、自己責任?
曇り止めは船上にもありますから、それをつければOKと思っているインストラクターやガイドも多いようです。
お客さんのマスクに曇り止めをつけて、すすいであげている光景はよく見ます。
でもマスクを1つ1つ磨いているインストラクターやガイドはいません。
マスクは曇り止めをつけただけでは、結局曇ると私は思っています。
マスクに油膜がついたまま、曇り止めをつけても、結局また曇ってしまいます。
なので、私はお客さんのマスクについては、ダイビングポイントに着くまでの間に、必ず油膜が取れるまで磨くようにしています。
ご自身で曇り止めフィルムなどを貼って、曇り止めの対策をしているお客さんのマスクは、もちろんしませんが、、、
(その方法は、プーケットのダイビングスキルアップ術のマスクの曇り止めで紹介しています。)
お客さんが楽しく安全にダイビングするには、マスクが曇らず、はっきり見えることは非常に重要です。
お客さんの目の表情を見て、お客さんの不安の度合いや楽しさの度合いも図れます。
写真を撮った時の、写りもよくなります。
ちょっとした手間をかけることで、楽しさと安全が確保できるのが、マスク磨きだと思っています。
ブリーフィング
潜る20分くらい前に、これから潜るポイントについての説明をします。
簡単に行うので、ブリーフィングと言います。
そのポイントの特徴や楽しみ方などを伝えて、お客さんをワクワクさせるのも大事なことです。
逆にウニや貝による怪我や、頭上の船に注意など、危険を知らせるのもブリーフィングです。
もし万が一、一人になってしまった時の緊急の手順や、海中で使うハンドシグナルを確認しておくことも大切です。
これはプーケットのダイビングショップならば、どこもしっかりとしているように思います。
ボートダイビングであることがその要因かもしれません。
しっかりと説明できるスペースや、説明が聞き取れるだけの静けさなどの、環境が整っているのも、プーケットのダイビングの良さだと思います。
プレダイブセイフティーチェック

これはバディチェックなどともいわれます。
直訳すれば、潜る前の安全点検です。
これはオープンウォーター講習の時に、必ず教える項目ですし、船上でも講習生はこれをしています。
ただ、ファンダイビングのお客さんがこれをしている姿は、ほとんど見かけません。
オープンウォーター講習が終了した次の日に、そのお客さんがファンダイビングをしたとしましょう。
同じインストラクターが担当になっても、前日の講習の時のように、プレダイブセイフティーチェックをしません。
なんでなんでしょうか?
船の上で安全点検をしないで、なんで平気で海に入れるのでしょうか?
不思議でなりません。
おそらく、ダイビングは自己責任で潜っているので、プレダイブセイフティーチェックは自分でしてくださいと言っているのかもしれません。
でも実際プレダイブセイフティーを自分だけでできるダイバーは、それほど多くはないと思っています。
だからこそ、潜る直前に、お客さんと一緒に安全点検をする必要があると思っています。
・BCDに空気を入れる
・ウエイトの有無を確認する
・リリースが止まっているか確認する
・タンクがあいているか?残圧はOKか?
・フィンやマスクがちゃんとあるか?
これだけのチェックは、ものの20秒程度です。
これでトラブルのほとんどが回避できるのならば、絶対に行うべきだと思います。
お客さんの誘導

日本のお客さんの特徴は、勝手な判断をして行動をしない
周りの状況をよく見て判断する
といったように、少し控えめです。
でもいったんしっかりした指示を出して、確認ができると、決して間違った行動をしないのも、日本のお客さんの特徴です。
ブリーフィングが終わった後、ウエットスーツを着たり、器材を背負ったりのタイミングも、説明や案内をしてあげると、とてもスムーズに行ってくれます。
逆に指示してあげないと、ずっと待ってしまいます。
潜る前に、お客さんを不安にさせないことはとても重要だと思います。
また潜る直前に、座っている場所からダイビングデッキまで、お客さんを誘導することも重要だと思っています。
たった10歩程度のこともあります。
時間にしても数秒のことだってあります。
でも、海に入る前は誰でも緊張します。
船が揺れて、足には歩きづらいフィンをはいています。
左右にはタンクや人も多いです。
潜る前の緊張を少しでも和らげたり、エントリー後にどこで待つかの指示を出すために、ダイビングデッキまでわずかな距離でも、お客さんを誘導すべきだと私は考えます。
水中での指示だし

字を書くことが出来る、水中スレート
日本人のインストラクターやガイドは、少なからず全員、水中スレートを持っていると思います。
水中スレートとは、水中でコミュニケーションや記録ができるように、字を書くことが出来るプラスチック製や磁気式の筆談ボードのことを言います。
ダイビングは水中では話ができないので、ハンドシグナル(手話のようなもの)を使って、「耳が痛い」とか「カメがいるよ」とかを伝えます。
でも、日本人は特に水中で色々な情報を伝えるので、この水中スレートを持つことが多いです。
私が書くのは、、、
私ももちろん持っています。
サイズは標準的な25cm程度のものです。
私の場合、水中スレートには、主に水中で注意してほしいことを書きます。
「ウニに注意」とか「頭上の船に注意」といった具合です。
時には、「フライにしたら美味しそうな魚」とか、海ウチワやカイメンを見て「これ、シャークポイントらしさです」などと書くこともあります。
水中スレートを使うときに気を付けていること
スレートを書く時に気を付けているのは、できるだけ、簡潔に、お客さんにわかりやすいことが重要だと思っています。
なので海の中で、魚の名前を書いたりはしません。
よく学校の授業で黒板を使うように、水中スレートを使って魚の名前を紹介をしているガイドを見かけます。
私も駆け出しの頃は、よく魚の名前を書いていました。
でも今の私はそれはしません。
海の中で魚の名前を書かれても、覚えられませんし、意味がないと思っています。
それなら、「まゆ毛」とか「インド洋固有種」程度にしておけば、お客さんも魚の印象を記憶できると思います。
そして魚やサンゴのことは、できるだけ船上で、写真を見ながら話すようにしています。
水中スレートは、スキルの指示や、安全のためにも使える
また水中スレートには、「浮く前に吐いて!」とか「視線は前に!」と言ったスキルアドバイスもします。
「2の根へ渡ります」「流れが出てきます」と言った、先に起こることをあらかじめ水中スレートに書いて、指示するためにも使っています。
海は自然なので、その瞬間瞬間で、流れや透明度などの環境が変化します。
水中で安全にダイビングするために、水中スレートは必須だと私は考えます。
ただ、使う頻度をあまり多くはしないようにしています。
魚を見たり、景色を楽しんだり、カメラ撮影をしたり、人それぞれダイビングの楽しみは異なるので、それを大切にしてもらい、水中スレートを使うのは必要最低限がよいと思っています。
「安全だから楽しい」だから当たり前のことを、当たり前にしていきます
ダイビングは、自然を楽しむ、きれいな景色や生き物を見て楽しむ。
そういう点では登山などと似ていると思います。
でも登山との大きな違いは、マリンレジャーということです。
南国だったり、水着だったり、そんなイメージが強いので、登山などよりもずっと開放的な雰囲気が強いと思います。
キレイな景色を見て、無重力の浮遊感を感じて、気持ちが高揚して、ダイビングはとても魅力的なマリンレジャーです。
でも、やはり「楽しいのは、安全だから」だと思います。
だからこそ「安全のために手を抜かない」、「当たり前のことを当たり前にする」、そんなことが大事だと私は思っています。
お客さんと別れ際に、「今日はとても楽しかったです」と言ってもらうために、これからも日々安全について考えていこうと思っています。





