ダイビングスキル(安全停止の姿勢)

今日も少し、ダイビングスキルのお話から。

「安全停止=浮くもの」?

上の写真は、ちょうど安全停止中の写真です。
深場から上がってきて、6m程度の深度になったので、砂の上で少しだけ浮いて、身体から窒素を抜いてもらっているところです。
実はこのお客さんは、潜降はそれほど苦手ではないのですが、安全停止になるとどうしても体が浮いてしまうという悩みを持っています。
ちょうどこの時も1m深い深度まではとても安定していましたが、安全停止というサインを出したとたんに、急に浮力が不安定になりました。
ビギナーの中には、「安全停止=浮くもの」と勝手に思い込んでいる人がいますが、この方もまだ経験本数が20本程度のビギナーさん。
安全停止という言葉に急に反応して、不安になったとあとで話してくれました。

浮いてしまう原因は?

ではどうして浮いてしまうのか?
今お話ししたように、精神的な不安で、呼吸が乱れるのもその一つです。
それ以外に姿勢はどうでしょうか?

腕は?

まず腕の開き具合です。
肩がはって、腕が大きく開いていますよね。
浮力を左右するのは、肺の膨らみ具合です。
肺がきれいに縮んでいれば、決して浮くこともなく、安定した浮力を確保できますが、この腕の開き具合ではどうしたって肺は膨らんでいきます。
よくダイビングの時は、腕を組んだり、両手を握る姿勢をとるようにと、オープンウォーター講習などで教えますが、これは自然と肩の力を抜いて、肺をきれいに絞れる姿勢なんだな、と最近感じるようになりました。

足は?

あとは足はどうでしょうか?
やや頭の高さよりの高くなっていますね。
本当ならば安全停止なので、フィン先を下に落として、立った姿勢になるくらいが良いのですが、その姿勢が取れずにどんどん足が上に上がってしまいます。
身体もやや反り気味になっていますね。
これは下半身に力が入りすぎが原因です。
下半身の力をすとんと抜けば、自然に足は下に下がってきます。
ただ力を抜くというのが一番難しくて、この方はすでに「安全停止」という言葉に反応して、緊張しているために力が抜けない状態になっていました。
船上では、こんな写真を見ていただきながら、姿勢や呼吸の話をするようにしています。

今日は姿勢の話をしましたが、安定した浮力を保つには、姿勢以外にも、呼吸や、意識の持ち方など様々な注意が必要です。
ただダイビングは楽しむために潜っているはずなので、考えすぎは良くありませんね。
楽しいダイビングをするために、少しずつスキルアップしていってほしいです。

今日のプーケットのダイビングの様子

さてここからは、今日のプーケットダイビングの様子をご紹介します。
今日、プーケットのダイビングにご案内したのは、海外在住がもう25年になるというK様。
しばらくダイビングをしていなかったそうですが、ここ最近は潜りこんでいて、私とはプーケット周辺の日帰りダイビングで、2日間ご一緒します。
今日のその1日目で、ラチャノイ島ラチャヤイ島にご案内しました。
スキルアップにとても真面目に取り組んでいるお客様です。

今日の1本目は、プーケットのラチャヤイ島から。
風はすでにハイシーズンの東風に変わっていて、波もややありましたが、あえて東側のポイントのNo1ベイに入りました。
この写真は、新しく沈めた大型沈船の中。
その大きさがわかってもらえるでしょうか?

新しい沈船の周りには、タイワンカマスの大群が、船を覆うように群れています。
船の大きさも、この写真だとよくわかってもらえると思います。
今日は1本目にラチャヤイ島に入ったこともあって、他のダイバーはほとんどいませんでした。

こちらは今まで潜っていた沈船。
こっちの沈船には、こんなキンセンフエダイが群れています。
これは船の中で群れていた魚たちを、撮影しているところ

2本目に潜ったのは、プーケットのラチャノイ島のバナナベイ。
ここも波がありましたが、なんとか入ることができました。
波があってもいったん潜ってしまえば、波は全く気になりません。
穏やかな青い海が広がっています。
この写真はサンゴの中にたくさんいたクリーナーシュリンプに手を入れたところ。
すぐにこんな透明なエビが数匹、指の上に上がってきました。

スカシテンジクダイやキンメモドキが群れるサンゴです。
先週はもっと魚たちが多かったのですが、なんだか少し減ってしまった感じ。
アジとかフエダイに食べられてしまったんでしょうか?
お客様はスチルカメラを持参して、写真撮影に夢中でした。

インド洋固有種のインディアンダッシラスを撮影しているところ。
フィン先をちょっとだけ砂につけて、浮力を調整しながら撮影していました。

1本目で浮力の話をしていたので、2本目のこんなサンゴの上も上手に泳いでいました。
ここは水深4m程度。
1本目は浮力が不安定になった深度ですが、魚や景色を楽しんで、マイナスイメージを払拭していたのが良かったのだと思います。

カマスの群れの中に入って、360度カマスワールドを楽しんでいるところです。

ダイバーの下にいるのは、サンゴの上に群れる小魚たちを追い回す、アミメフエダイ。
もう十数匹がぐるぐる小魚の周りをまわっていました。

ここも水深4m程度。
足が頭よりも上に上がることなく、きれいなトリムが取れていますね。
下半身のこわばりもなくなって、身体が反ることもなくなりました。

私のショップを選んだ理由を聞くと、1日1組でマンツーマンで自分のことに目を配ってくれそうだから、とおっしゃっていました。
スキルアップが希望だったので、いろいろな疑問を投げかけられて、船上ではずいぶんとおしゃべりをしました。
とても真面目な方です。

2日目はピピ島マリンパーク3ファンダイビングに出かけます。
明日は今日のスキルを使って、魚もサンゴも地形も楽しんでもらおうと思っています。
私と潜った後はシミランクルーズに2泊3日で出かけるそうなので、まずはプーケットの良さを存分に楽しんでもらおうと思っています。