ダイビングスキル(意識と行動は真逆?)

今日も少しだけダイビングスキルのお話をします。
今日は意識と行動は真逆というタイトルにしました。

例えばダイビングを始めた頃、身体が勝手に浮き上がってしまったなんてことありませんか?
まぁ原因は焦りからくるのですが、そのとき自分は息を吐いているつもりでいるんですね。
でもはたから見ると呼吸は完全に止まっています。
ちっとも息を吐いていなんです。
本人は一生懸命吐いているつもりでいるんですけど、実際にはまったく吐けていません。
だからどんどん浮き上がってしまうというわけです。

では逆にサンゴの上を泳いでいるときはどうでしょうか?
これも初心者の頃は、サンゴに体がつきそうなくらいに沈んでいくことがあります。
もう頭の中は、「けがをする、怖い」「どうしよう?どうしよう?」ってパニック状態。
そんなときの呼吸をはたから見ると、こちはら息をバフバフと吐いているんです。
サンゴにつきそうになっているんだから、本当は思いっきり息を吸って、2秒から3秒我慢して、肺の力で浮き上がらなくてはならないのに、どういうわけかパニックになっていると、息を吐きだしてしまいます。

冷静に考えれば、浮いた場合も、沈みすぎた場合も、どちらも呼吸の仕方は理解できるはずなのですが、いったんパニックになってしまうと、取るべき行動と逆のことを無意識に行ってしまうものです。

よく初めての体験ダイビングで、急にパニックになるお客様がいます。
大体そんな方は決まって、潜降しはじめて頭がようやく水面から下がったくらいになります。
その時のお客様は決まって、「息が吸えません!!」と言っています。
でもこの人を良く観察すると、息をほとんど吐いていないんです。
過度の緊張から、呼吸を止めているんですね。
当然、息を吐いていないので、肺はぱんぱん。
呼吸を吸えるはずがありません。
でも本人は、息を吐いていると思っているんです。

上のどれもが冷静になれば、当たり前にできることばかりです。
でも人は、とるべき行動と逆のことをしてしまうことが、とても多いです。

ダイビングはいくつになってもできるレジャーです。
ただ年齢が上がってくると、小さなトラブルが、大きな恐怖に感じて、パニックになりやすいものです。
そんな時、落ち着いてダイビングを楽しんでもらえるサポートをしてあげたいと、常々思います。

今日の海の様子

今日、プーケットダイビングにご案内したのは、50歳をすぎて(50歳を間近にして)、初めてプーケットに来て、初めてダイビングにチャレンジしようと決めたご夫婦。
一度はダイビングをしたいね。とご夫婦で話していたそうです。
そんなお二人が私のショップのホームページを見て、申し込みしてくださいました。
とても笑顔なお二人です。

実は潜り始めの時は、上のスキルでお話ししたように、旦那様は焦って呼吸が荒くなって、しばらく沈むことができませんでした。
ただゆっくりと時間をかけると、下の写真のように、1本目からしっかりと泳ぎ始めることができました。
奥様は、意外と冷静で、ふわふわという感じで潜れていました。

ご案内したのは、いつものプーケットのラチャノイ島のバナナベイ。
透明度も良くて、天気も抜群。
こんな魚たちの景色は、想像していた通りだったみたいです。

旦那様の一生懸命な感じが伝わってくるでしょ。
50歳になって初めての体験ダイビング
とにかく楽しんでいるのですが、でも一生懸命です。
肩に力が入って、腕もピンと伸びていますね。
逆に奥様は、肩の力もだらっと抜けています。
なんとも対照的なお二人。
そんな話を1本目が終わった船の上で、写真を見ながらレクチャーしました。

仲の良いお二人。
奥様が手を取って、旦那様を引っ張っていますが、時には旦那様が前で、奥様を引っ張ったりと、なんともほのぼのした光景でした。

手を取り合って、スズメダイの群れの前で魚を観察している様子。
楽しそうでしょ。
映像とかで見ていたダイビングの様子と、実際に潜ってみる景色は、まったく違って感動的だったみたいです。

これは2本目に潜ったプーケットのラチャノイ島のバナナロック。
1本目に比べて、呼吸が安定してきました。
砂の1mくらい上を、ゆったりと泳いでいます。

バナナロックには、こんな枝先まで青いエダサンゴが一面に広がっている場所があります。
ここは本当にきれい。
体験ダイビングのお二人も自分の力で泳いで、この景色を楽しんでいました。

ここはバナナロックの、ちょうど大きなロック(岩)の横。
水深が急に深くなって、あたかも空を飛んでいるような、そんな体験ができる場所です。
上手に泳いでいますよね。

もう一度エダサンゴに戻ってきました。
サンゴの上にはこんなスズメダイが、蝶々のようにひらひらとたくさん群れています。
奥様はすっかりこの景色のとりこになっていたみたいです。

旦那様はもうすっかり呼吸のコツを覚えて、浮き上がることもなくなりました。
ただ奥様はちょっと気を抜くと、ふわーと浮き上がってしまいます。
肺が小さくなるのを待てずに、息を吐ききれずに浮き上がってしまうパターンです。
これ、意外と女性に多いパターンです。
でもまた冷静になると、こんな感じで上手に泳ぎだすことができました。
楽しんでいるのか?私はとても心配でしたが、上がってきたとき「とても楽しかったです」と言ってもらえてありがたかったです。

3本目のラチャヤイ島では、今度は初めてのスノーケリング体験。
船のスタッフと一緒に、こちらも40分近く、海を楽しんでいました。
ダイビングとはまた違った、楽しみができたみたいです。

人は年齢が上がってくると、とかく新しいことにチャレンジするのが億劫になりがちです。
ただ今日のご夫婦は、以前からやってみたかったダイビングを50歳で、チャレンジしてみました。
ダイビングの感想には、「思い切って挑戦して、本当に良かった」と書いてありました。
帰りの船では、オープンウォーター講習の話もでて、これからご夫婦で楽しめる趣味を、ぜひもう一つ作ってほしいと思った1日でした。
ぜひまたプーケットに潜りに来てください。
お待ちしています。