とても良い天気のプーケットなのですが、風がとても強いです。
さて今日も器材セッティングの続きをお話しします。
今日はレギュレーターです。
レギュレーターのヨークスクリュー
まずは、レギュレーターのヨークスクリューですが、ビギナーの方でよく3本指でそ~と回している人がいますね。
オープンウォーター講習でそう習ったのだと思うのですが、「どうしてか知っていますか?」と尋ねても、みなさん「さ~?」と答えます。
これはきつく締めすぎると、今度はとれなくなるんです。
よくボートの新人スタッフが、タンク充填後に、ヨークスクリューを目いっぱいきつく締めあげてしまい、ダイビングが終わって、ヨークスクリューを回そうと思っても、びくともしないということがあります。
ファーストステージにはバルブを開けると200Barがかかりますので、緩めにスクリューをしめても、がっちり固定される仕組みになっています。
ただそれほど神経質になる必要もなく、2本指や3本指などで回す必要もありません。
きつすぎない程度にしっかりスクリューをしめましょう。
またチタンなどの高級素材でできたヨークスクリューは、とても回りが良いです。
勢いよく回したら、回りすぎてしまって、スクリューがぽろっと外れて、海の中に落ちてしまったという人が、今までに数名いました。注意しましょう。
レギュレータの具体的なチェック項目
残圧チェック
まずはバルブを開けて、残圧が200Bar程度入っているかを確認することが大切です。
タンクの残圧ばかりでなく、残圧計のチェックもしっかり行いましょう。
今までにレンタルの残圧計で、針が全く動かなかったことがありました。
タンクは充填済みだったのですが、残圧計の中に水が入っていて、針が動かないケースが意外と多いです。
ちなみにバルブを開くときは残圧計は伏せておきましょう。
私は16年間で2回、残圧計が大きな「ポンッ」という音を立てて、壊れた経験があります。
セカンドステージをチェック
まずはご自身が吸うレギュレーター(メインのセカンドステージ)のチェックです。
マウスピースの確認
最初にマウスピースの確認から。
特にレンタル器材の場合は、マウスピースが嚙み切られていることがあります。
少々の傷くらいならば大丈夫かもしれませんが、もうすでに切れてしまっているようならば、交換してもらう必要があります。
特に歯を食いしばるタイプの人は、気を付けたほうがいいと思います。
パージボタンを押す
レギュレーターを咥える前は、必ずパージボタンを押しましょう。
レギュレーター内に万が一異物が入っていても、パージボタンを押せば空気でとばされて出てきます。
プーケットでレギュレーターの中に何か入っていたことは、私は経験はありませんが、南国なので虫などもいて心配があるので、お客さんには必ず押してもらっています。
必ずレギュレータで呼吸をする
レギュレーターのチェックを、パージボタンを押すだけで終わりにしてしまう人は実は多いです。
確かに空気が出てくることはわかりますからね。
ただ以前にレンタルのレギュレーターを使ったお客さんが、水中でレギュレーターを吸っていると、中に水が入ってきて使うことができなかった、というケースがありました。
とりあえずその場はオクトパスを吸って対応してもらい、船に上がってからレギュレータの中を開けてみると、ダイアフラムという膜が、めくれていて、隙間ができていたのが原因だとわかりました。
それ以来、器材チェックの時には必ずお客さんにレギュレータを吸ってもらい、しっかり抵抗を感じるか?
すかすかした感じはしないか?を確認してもらっています。
呼吸の早さで、エア消費がわかる
実はお客さんにレギュレーターで呼吸してもらうとき、私はお客さんの呼吸の早さをチェックしています。
例え船の上の器材チェックとはいえ、レギュレーターの呼吸の早さは、水中とほぼ同じペースだからです。
「この人は意外と早いな」とか「初心者にしては落ち着いて吸っているな」とか「体が大きいけど、呼吸はゆっくりだな」という具合です。
この船上の呼吸の早さを知ることで、まだ潜る前からお客さんのエア消費がわかって、コース取りなども考えられるので、とても重要だと思っています。
オクトパスも同様です。
ホースのチェック
ホースのチェックは目視と実際に触って確認をしてもらいます。
ホースが傷んでいたり、穴があいていたりすると、たいていは膨らみになります。
特にファーストステージの根元は折れ曲がりやすいので、カバーがついていますが、そのあたりをよく見て、膨らみがないかを確認しましょう。
ホースがエントリー前に、爆発のような大きな音をたてて、はじけたり、水中でもはじけるケースは年に数回は目にします。
4本ともしっかりと確認をしましょう。
残圧計のチェック
ここまで終わったらバルブを閉めます。
ただ締め終わった後に、もう一度残圧計を見てみましょう。
針が先ほどと同じ圧力を指していれば問題はないのですが、少しずつ針が下がっていた場合は、どこかで空気が漏れていることが原因です。
空気漏れの主な原因は2か所
空気が漏れている原因は主に2か所です。
一つはタンクバルブのOリングです。
これは前回お話ししました。
あと一つは、残圧計の根元のスイベルのOリングです。
上の写真の位置です。
これは目で見てもわかりませんが、プーケットでは船上に、カメラを漬けておくような大きな水槽などがありますから、その中に残圧計を入れて細かい泡が出てくるかチェックするとよいです。
特にカメラ撮影をする人は、ここから泡が出ていると、せっかくの写真が台無しになってしまいますから、気を付けましょう。
また、残圧計の針の落ち具合が、わずかならばエアの減りはそれほど心配ありませんが、大きく落ちるようならばOリングを交換してもらうのが良いと思います。
それと、よくお客さんでファーストステージに耳を当てて、「空気が漏れているようなんですけど」という方がいます。
インストラクターでもファーストステージに水を滴り落としたり、石鹸水をつけて確認する人がいますが、まずはバルブを完全に締めて、残圧計の落ち具合を確認する方が、しっかり確認出来て良いと思います。
残圧計の針は引っかからずに落ちるか?
バルブを閉めても残圧計の針が、落ちないことを確認した後は、レギュレーターのパージボタンを押して、残圧を0にしましょう。
まだ潜るには数時間あるようならば、ホースに圧力がかかっていると、傷みが早くなったり、トラブルが起こる心配もあるので、残圧は0にするべきです。
その際、針が滑らかに落ちてゆくかどうかを確認します。
針が途中で引っかかりながら落ちたり、途中で止まったり、0にならずに50Barあたりで止まってしまうことは、とても多いです。
特にレンタル器材で、ファーストステージにキャップをし忘れた人が、そのまま水槽にレギュレーターを漬けてしまうと、残圧計はあっという間に壊れてしまいます。
壊れた残圧計は、水中でいくら空気を吸っても、針が動かずに止まっていたりします。
それを防止するためにも、針の落ち具合をしっかり確認することはとても重要です。
オーバーホール直後のレギュレーター
ご自身のレギュレーターは、定期的にオーバーホールに出しているでしょうか?
塩をとったり、Oリングを交換したりと、値段は結構高いですが、これは大切なことです。
ただオーバーホール直後のレギュレーターで、お客さんが困ったケースも何回かありました。
まずホースの取り付けが甘くて、ホースのねじが簡単に回ってしまうケースがありました。
あとはホースの位置が、オーバーホール前と違っているというケースもありました。
さすがにハイプレッシャーとロープレッシャーを間違えているケースはありませんが、いつものようにファーストステージを取り付けると、ホースの取り付け場所が変わっていて、思った場所から出ていないというケースです。
そんな場合、ダイビングボートには工具を用意していますので、インストラクターやボートスタッフに声をかけて、直してもらいましょう。
プーケットのレンタル器材業者
私のショップではレンタル器材は、業者に委託しています。
レンタル器材を専門に扱っているので、数も豊富ですし、サイズも整っています。
また古い器材をいつまでも使い続けることなく、常に新しい器材を用意しているのも、レンタル業者に委託する理由の一つです。
ただ繁忙期は、レンタル業者も大忙しです。
1日に器材バックが100個近くになることは当たり前で、それぞれを異なる船に持っていくなど、とても忙しそうです。
そのため専門業者といえども、借りる側がしっかりチェックをする必要があります。
私は業者が持ってきた時点で、サイズの間違いや簡単なチェックをしますが、さすがにレギュレーターはタンクがある船上でしかチェックができません。
器材の中でもレギュレーターは、特に命に直結する器材ですので、業者、インストラクター、そしてご自身でしっかりチェックをすることが大切だと思います。
レギュレーターだけで、またずいぶんと長い文章になってしまいました。
あとの器材については、また次回ご説明したいと思います。