平泳ぎのように手で水を掻く
プーケットでダイビングをしていると、時々手を使って泳いでいる人を見かけます。
日本人の方で手を使っている例は、推進力を得るために、平泳ぎのように腕を広げて、手で水を掻いている例です。
PADIのテキストでは
PADIのオープンウォーターのテキストには
”水中移動はバタ足キックが最も一般的です。両腕は身体のわきに添えます。”
と書いてあります。
手を組んでみたり、腕を組んでみたり、インストラクターからもダイビングでは手を使わないようにと、教わってきたかもしれません。
これもオープンウォーターのテキストに書いてありますが、流線型を保つようにとなっています。
手を使うことのデメリット
流線型が崩れる
手を広げたときの最大のデメリットは、流線型が崩れることです。
手を広げて、平泳ぎのようにしてしまうと、せっかくキックで得られた推進力が止まってしまうので、できるだけ手を使わないようにと言っているのだと思います。
危険なものに触ってしまう
また手を広げると、危険なものにも触ってしまうことになります。
例えばウニや貝です。
マスクをしていると意外と視野が狭くなるので、無意識に手を広げた瞬間に触ってしまうことはよくあることです。
手の掻きに頼って、キックをしなくなる
そして私が今までに見てきたお客さんの場合、手を広げる人の多くは、手の掻きで進もうと考えて、あまりキックをしません。
そのため足はやや浮きがちで、フィンはひらひら使って、軽くバランスをとるだけになりがちです。
最大のデメリットは、肺が小さくならないこと
腕を広げてしまうと、肺は自然と広がります。
ラジオ体操の深呼吸がまさにそうですね。
肺が広がり続ける姿勢では、身体は当然沈みません。
そんなとき腕の推進力に頼る人は、力づくで下へ下へと腕の力で潜っていく傾向にあります。
素潜りのイメージですね。
残念ながら、例え力ずくで沈むことができても、肺は広がったままなので
またしばらくすると浮き上がって来てます。
そしたらまた力ずくで沈むという、悪循環になります。
そのため手を使わずにキックで進むようにと、テキストでも教えているのだと思います。
肩の力を抜いて、腕の力を抜くことは、肺を縮めるためにはとても効果的です。
スカーリングの技術で、手を積極的に使う
とはいえ手を全く使ってはいけないかというと、そうとも限りません。
日本人の方ではあまり見かけませんが、ヨーロッパのダイバーの中には、手を積極的に使っている人を見かけます。
同じ場所に留まるために、手首をまげて、手の平を横にひらひら動かします。
シンクロナイズドスイミングの要領ですね。
カヌーのパドルのように、前にも後ろにも、回転することもできます。
推進力を得るためではなくて、身体を安定させるために使っているところが、今までお話した手の使い方と異なるところです。
魚にも胸鰭があるので、この手の使い方はありだと思います。
ダイビングは自然の中で楽しむレジャーです。
早さを競うこともなければ、人と競い合う必要もありません。
ただ、安全に楽しむために、様々なスキルを身に着ける必要があります。
その時、この手の使い方を参考にしていただけるとありがたいです。