今日も気持ちの良いお天気のプーケットです。
風もだいぶ収まりました

さて今日もまたダイビングスキルのお話をさせて下さい
今日はダイビングの呼吸と浮力の関係です。

安全停止が止まらない?

よくお客さんから「安全停止が止まらないんです」とか「浅場に行くと、どうしても浮いてしまうんです」なんて声を耳にします。

仕方ない理由もあります

実はこれ、どうしても仕方ない原因が一つあります。
それはタンクです。

タンクの中の空気にも重さがあってダイビングの後半や終了間際は、残圧も少なくなるので、どうしてもタンクが浮きやすくなります。
プーケットで使っているアルミタンクの方が、より身体が浮く感じがするようです。
ただこれは主な原因ではありません。

身体が浮く主な原因は、呼吸です

実は「安全停止が止まらない」や「浅場が浮きやすい」の主な原因は呼吸です。

以前のブログで、私が水泳の呼吸と呼んでいた、吸って⇒2~3秒ガマン⇒息をバフっと吐くは、実は「安全停止が止まらない」や「浅場が浮きやすい」になります。

《参考》
12/21のブログ ダイビングの呼吸 へ

浮きが止まるのにも、時間がかかる

というのもこの水泳の呼吸では、息を吐きだすタイミングは、身体が浮いて来たときです。
身体が浮いて来たので、仕方なく息を大きく吐き出しているのです。

タンクにまだ十分な空気が残って少々重かったり、深場であれば、水泳の呼吸で身体が浮いてもそれほど焦ることなく、呼吸を続けられます。

浮くにも沈むにも時間がかかる

ただ安全停止の5m付近や、浅場になるといったん身体が浮き始めると少し焦ってきます。
そして身体がいったん浮き始めると、例え息を吐きだしても、その浮きはすぐには止まらないのです。

身体が浮き始めるのに2~3秒がかかったと同様に、浮きが止まるのもやはり2~3秒かかるのです。

吸うことに意識しても、吐くことはあまり意識していない

人はダイビングに慣れてくると、息を吸った後、2~3秒後に身体が浮いてくることを理解します。
そしてそれに適応します。

ただ息を吐きだしてもすぐに浮きが止まらないことの方は、意外に理解できていません。
先日もお話ししましたが、人は息を吸うことは意外と意識しています。
でも息を吐くことは、意外に意識していないものです。

吐いているのに、なんで?なんで~?

何で浮くんだろう?

なので息を吐いているのに、なんで浮きが止まらないんだろう。
焦れば焦るほど、浅い呼吸になって、口先だけで「フーフー」
吐いているのに、なんで?なんで~?となるわけです。
肺を縮める呼吸になっていないんですね。

ここで冷静な人は例え浮き始めても、脱力して肺を縮めて降りてこれますが、「安全停止は浮くものだ!」なんていう固定観念を持っている人は特に、そのまま水面に浮上してしまいます。

何が問題なのか?どうすればいいのか?

では水泳の呼吸の何が問題だったのでしょうか?
それは、身体が浮いた後に息を吐きだすのがいけなかったのです。
ならば身体が浮かずに呼吸が出来ればいいことになります。
実はそれこそが理想的なダイビングの呼吸なのです。

大切なのは、吐き始めるタイミング

大切なのは

理想的なダイビングの呼吸は、ゆっくり深く吸った後⇒ププププーと細かい泡を吐き出す、と先日お伝えしました。

ここで重要なのが、吐き出し始めるタイミングです。
先にも話しましたが、人は息を吸った後2~3秒は身体が浮き上がりません。
なのでその間(身体が浮く前)に、息を吐きだし始めれば、絶対に身体は浮き上がることはないはずです。

そしてもう一つ大切なのは、身体が少し落ちてから吸う

そしてププププーと細かい泡を吐き出して、肺が十分に小さくなって身体が少し沈みかけたところで、息を吸い始めます。
この「少し身体が落ち始めたところで吸う」というのが、もう一つの大切なことです。

残念な例

残念な例があります

実はこれは女性に多いのですが、身体が浮く前に息を吐きだし、ププププーと細かい泡も出せるのですが、残念なことに十分に吐き出し切る前に、もうすぐに吸ってしまう人が多いです。

身体が沈むくらいまで、肺の空気を出し切れていないんですね。
なので少し気を抜いてしまったり、タンクの空気が少なくなってくると、やはり浮きがちになります。

理解してもらえたでしょうか?

「浮くから吐く」という呼吸法を、「沈むから吸う」に変えることを理解して頂けたでしょうか?

これができれば、安全停止で浮くことも無ければ、浅場で浮き上がることもなくなるはずです。

そしてそれは、身体からしっかり窒素を抜くことにも役立ちますし、水面でのボートとの接触も防ぐことが出来て、安全にダイビングを楽しむ事が出来ると思います。

いわゆるダイビングの呼吸(ゆっくり深く吸った後⇒ププププーと細かい泡を吐き出す)が、エア消費と中性浮力の両方に適している。というのがわかってもらえたでしょうか?
(※ エア消費については、12/21のブログを見てください)

練習するときのコツ

この呼吸法の練習は、慣れればすぐにできるようになります。
ただ初心者であればあるほど、慣れるのも早いのですが、すでに数百本潜ってしまって、自分の水中の呼吸法が固まってしまった人ほど、直すのは難しくなります。

また「少し沈むから息を吸う」と書きましたが、これには適正ウエイトが関係してきます。
オーバーウエイトの人は、理想的なダイビングの呼吸をすると、身体がどんどん沈むので、また早い呼吸に戻ってしまいがちです。
ウエイトの増減を気軽に頼めるインストラクターやバディがいるとより良いと思います。

また元の水泳の呼吸法に戻ってしまった時に、「浮く前に吐く!」なんて指示を出してもらえると、なおよいですね。

今日のおさらい

では最後に今日のブログ、ダイビングの呼吸と浮力の関係で大切なことを確認しましょう。
1.身体が浮く前に、息を吐きだし始める
2.ププププーと細かい泡を吐き出す
3.身体が少し沈んでから、息を吸い始める
でした。
ぜひ試してください。