一週間近く、ブログを休んでしまいました。
その間にプーケットの天気はなんだかすっかり雨季らしくなってしまって、今日もどんよりした曇り空になっています。
先割れフィンで有名なバイオフィン
さて少し内容のあるブログを書かなければと思って、ネタを探していたら時間ばかりが過ぎてしまいました。
今日はダイビングのフィンについて、先日驚いた発見があったので、そのお話をしたいと思います。
実はFacebookのスキューバ・ダイビング繋がりというグループの情報を見ていたとき、アポロのバイオフィンのことが書いてありました。
このフィンは先割れフィンと言って、写真にあるようにフィン先の中央に切れ込みがあります。
天然ゴムを多く含む素材を贅沢に使っていて、他のフィンよりもずっと柔らかく、しなる感じが特徴です。
そのフィンの動きは、アシカの尾びれに例えられます。
このフィンは日本の再王手のダイビング器材ショップが取り扱っていることで有名で、そのショップに行くと店員さんから、必ずこのフィンを勧められます。
その理由は、
・「脚力の弱い人でも、滑らかに進むことができる」とか
・「とても楽に泳ぐことができる」といった感じで、実際私も昔にこのフィンを勧められた記憶があります。
ただ実際に購入した人の話を聞くと、
・「いくらキックしてもスカスカで、ちっとも進まない」
という方が多く、私自身あまり良い印象を持っていませんでした。
それがFacebookでは、かなりベテラン方が、このフィンの購入を検討していて、その理由が
エア消費が良くなることと
流れの中でも確実に泳ぐことができる
という理由で、このフィンの良さを語っていたのです。
正直言って、とても意外でした。
長所も短所もしっかり書いてある
そこでこのバイオフィンを販売している日本潜水機株式会社apolloのホームページを見てみることにしました。
長所
そこに書いてあったのは、
・米国海兵隊特殊部隊をはじめ、各国の特殊部隊や海軍・陸軍のダイバー部隊が使用しているというもので、
・信頼性が高く性能が認められた物でないと、受け入れられないようなユーザーにも対応している
というものでした。
確かにもっともな話だなと思いました。
短所
また、販売会社のホームページにもかかわらず、マイナス面のコメントもしっかりと書かれていました。
例えば
・潮流下で進まないとか、スピードが出ない
・残念ながら性能を堪能できない、特にある程度ベテランと言われるレジャーダイバーや同インストラクターもいるようだ
といったことが、正直に書いてあることに驚きました。
詳しくは、日本潜水機株式会社apolloのホームページ バイオフィンの技術をご覧ください。
https://www.apollo-japan.jp/equipment/bio-fin-technology.php
マイナスの印象には原因があった
ただそんなマイナスの印象が生まれるのは、キックの方法があっていないためだと書いてありました。
ホームページには、従来型のフィンをパドル型と表現し、先割れのバイオフィンをスクリュー型と表現しています。
従来型のパドル型のように、ブレードで水をとらえるキックをしていると、このバイオフィンは進まないそうです。
いくらキックしても、スカスカでちっとも進まないと言っていた方々は、キックの方法があっていなかったのかもしれません。
先割れフィンの正しいキック方法
では先割れフィンはどうすればいいのか?というと、水泳のバタ足のように、膝下だけで行う小刻みなフィンワークが、最も効率良く推進力を発生させることができるそうです。
印象的だったのは、『自転車こぎでもなんでも良いので、フィンを上下に早く動かすことで、スピード=推進力が得られます。』と書いてあったことです。
自転車こぎのキックでも推進力が得られる
実はこの『自転車こぎのキック』というのは、私たちインストラクターの中では、最も悪いキックの方法と言われています。
ダイビング講習でもこれだけはしっかりと直させるべきだと考えられています。
実際私と一緒に潜った初心者のダイバーの中には、この自転車こぎのキックをする方は、意外と多いです。
また足首だけでひらひらとフィンを上下させるお客さんも意外といらっしゃいます。
そんな方々が普通のフィンを履いていると、推進力が得られないだけでなく、身体のバランスも上手にとることができません。
ましてや潮の流れがあると、先に進むことができなくなります。
そのためキックの様子をビデオに録画してお客さんに見せたり、私が先を泳いでしっかりしたキック方法を見せたり、足の使い方を船上で説明したりと、色々な方法で正しいキックの方法をお客さんに伝えていますが、なかなかすぐに直るものではありません。
また一般のお客さんはそれほど頻繁にダイビングが出来ないので、直すチャンスもなかなかないと思います。
そんなことを考えながら、自転車こぎやフィンをひらひら動かすだけのお客さんに、どうしてあげればいいのかと悩んでいました。
目からうろこ
そんな時に『自転車こぎでもなんでも良いので、フィンを上下に早く動かすことで、スピード=推進力が得られます。』という一文は衝撃的でした。
スカスカで流れの中で進まないと思っていたフィンが、最も悪いと思っていたキックの方法で推進力が得られるなんて、まさに目からうろこが落ちたような驚きでした。
世の中は進化していて、今までの固定観念は捨てて、あたしい変化に対応しなければならないことが多くなってきました。
スキーのカービングもその一つですね。
道具の進化で、滑り方が全く変わったと言われています。
コロナになって会社に行かずにテレワークで働くようになったのもそう一つかもしれません。
今までお客さんにフィンの選び方について、何度も尋ねられたことがありました。
そのたびに先割れフィンはお勧めしないと言っていたのです。
ただ今回バイオフィンのホームページを読んで、その考え方を改めなければならないと思いました。
今後は、フィンキックが上手にできない人のフィン選びの一つに、この先割れフィンのバイオフィンを紹介してみようと思います。