プーケット ダイビング スキルアップ術

お客さんとインストラクターの考え方の違い

ダイビングオープンウォーター講習体験ダイビングを担当すると、インストラクターの私とお客さんでは、考え方に違いがあることに気付きます。
その代表的なものをご紹介したいと思います。

お客さんは、潜降が怖い

怖い、恐怖、不安

その代表的なのが、ダイビング中に怖いと思う場面です。
特に体験ダイビングのお客さんが”怖い”と感じる場面は、潜降ではないでしょうか?

マスクもして、レギュレーターもくわえて、波も全くなくて、晴天のまさにダイビング日和の環境であっても、いざ潜降しようとすると、決まって「ちょっと待ってください」「怖い!怖いです!!」と言い始めるお客さんがたくさんいます。

水の中では息ができないから怖い

インストラクターの私は、ロープをたどって頭が沈む1m位の深さに潜ろうと思っているのですが、お客さんはもう恐怖心が頭の中にいっぱいで、足はバタバタでとても沈めそうにありません。
何かが襲ってくるわけでもなく、海も穏やか、透明度も抜群です。
でもお客さんの頭の中では、水の中で息ができなくなるんじゃないか?
死んでしまうんじゃないか?
そんな不安や心配の妄想がどんどん広がっているんですね。

そんなときお客さんには、「まだ何も起こってないですよ」
「このまま50分間、ここにいてもいいんですよ」
「まずは顔をつけて、水中を覗いてみましょうか?」
等と言って、気持ちをリラックスさせて、そのあとはもう背中を押すように
「じゃっ、いきますよ!」「プシュ~」という具合にして、潜降を始めます。

あとから思い返すと恥ずかしいくらいに、怖がっている

日本人はリスクを考えすぎるところがあるので、こんな不安を感じる人が実に多いです。
それが年齢が高くなればなるほど、不安や心配の妄想がより大きくなって、「息ができません!」「死ぬ~」なんて言い出す人もいます。
でも実は息はちゃんとしているんですけど、、、
使い慣れないレギュレーターで、息が吸いづらかったり、あまりの緊張で息が吐きだせないために、息が吸いづらいのがその主な理由です。

そんなお客さんでもいったん潜り始められれば、もうパニックになったりすることはありません。
1本目が終わったときには、「楽しかった」というお客さんがほとんどです。
最初は「怖い!怖い!!」って言ってましたよね~、なんて話をすると、照れ笑いを皆さんします。

水面=呼吸ができるから安全、水中=危険

ダイビングの潜降

実はお客さんの考えるダイビングの怖さのほとんどは、これが良い例で、潜降の時に怖さを感じる人がほとんどだと思います。
陸上で呼吸はできても、水中では呼吸ができないと考えるからなのでしょう。
なのでお客さんの考え方は、
水面=安全
水中=危険
だと思います。

浮上=水面に出る⇒安全と考えてしまう

そのためいったん水中に潜って、泳ぎ始めたあとも同じ考え方(水面=安全)と考える人が多いです。

例えばいくつか例を挙げると、
潜降中に耳が痛くなってしまったお客さんが、慌てるように水面に出たがることがあります。
また泳いでいる先に大きなサンゴが現れたとき、サンゴの上を越えて先に進もうとすることもあります。
呼吸が不安定で、浮いたり沈んだりを繰り返す方も多いですね。

この深度を上げたり、急浮上することのどれもが、特にビギナーのお客さんにとっては、それほど危険な行為と考えていないみたいです。
潜降であれだけ怖がっていた人でも、水面に出るとほっとした顔をするものです。

インストラクターは、浮上が怖い

ダイビングの浮上

ではインストラクターはどう考えているのでしょうか?
私たちは水面に近づくこと、急浮上することはとても危険だと考えています。

危険な理由

その理由は、水面にはボートやジェットスキーなどが通過する可能性があって、ひかれれば命を失う可能性があります。
また急浮上すると言うことは、肺の過膨張もおこります。
パンパンに空気を詰めた風船を水面までもっていくと、風船は膨らんで最後は「パンッ」とはじけるそんなイメージです。

トラブルは水中より、水面で起こることが多い

ダイビング中のパニック

オープンウォーターのテキストにも書いてありますが、トラブルは水中よりも水面で起こることがほとんどです。
水中はタンクの空気があれば、危険なことはそれほど多くはありません。
それに比べて、水面に出ることは、様々なリスクの可能性があります。
実は経験の少ないダイバーは、そのことがわからないものなのです。

お客さんとインストラクターの怖いには、違いがある

怒る

今回あらためて、オープンウォーター講習体験ダイビングを担当して、お客さんの泳ぎを見て怖いとか、注意したいと思う場面がいくつもありました。
でもお客さん自身は決して、悪気があって行っているようには見えません。
でもインストラクターの自分は、なんで怖いと思ったのだろう?
なんで船に上がったら注意すべきだと感じたのだろう?
と、よくよく考えてみました。
それらすべては実は、お客さんの考える怖い事と、インストラクターが考える怖い事には、違いがあることに行きつきました。

プーケットで長年ダイビングの仕事をしていると、インストラクターがお客さんを怒っているシーンをよく見かけます。
潜降できないお客さんに、インストラクターが目を吊り上げて怒っているのはもちろん、
水中で浮き上がってしまったお客さんの足をひっぱったり、
お客さんに早く降りてこいとシグナルを送っていたり、
ひどいのになるとお客さんを蹴飛ばしているシーンなども目にすることがあります。
(日本人以外のインストラクターに多いです)

これらって実は、インストラクターが自分ができるのに、なんでお客さんはできないんだ。とか
さっき話をしたのに、なんで言うことができないんだ。とか
浮上が危ないことがなんでわからないんだ
なんていう思いが感情に表れて、そんな怒りの行動になってしまうんだと思います。

お客さんが考えていることを理解する

お客さんが考える怖いことと、インストラクターが考える怖いこと、その違いをもっと丁寧に伝えることで、もっと上手に楽しくダイビングができるようになるのかなと、改めて実感しました。
お客さんはもちろん、インストラクターもこの記事を読んで、少しでもダイビングスキルアップに役立てば幸いです。