今日も天気は良いのですが、風が強いプーケット
気温が低いせいか、少し風が冷たく感じます。
さてパソコンが快適に動くようになったので、またダイビングスキルのお話をさせてください。
今日は潜降についてです。
潜降は、ダイビングスキルの中でも一番難しいものだと思います。
また潜降が上手になると、ダイビングのスタートがうまくゆくので、ダイビングが楽しくなると思います。
潜降でありがちな失敗
今でこそインストラクターをして、こんなスキルの話をしている私ですが、一般ダイバーの時はなかなか潜降ができませんでした。
潜降で一番重要なのは、脱力です
といってもなかなかわかりづらいので、具体例を挙げてお話ししたいと思います。
息を吸って潜り始めてしまう
ダイビングを始めたばかりの時は、誰もが無意識に息を吸ってから、潜降しようとします。
日本人は子供のころから水泳をしてきました。
なので「水の中に入るためには、息を吸って空気を蓄えなければならない」というのが、体に染みついているため、潜る前には無意識に息を吸っているのだと思います。
当たり前ですが、肺は大きな浮袋です。
それをいっぱいにした状態で、潜れるはずはありません。
身体の力を抜いて(=脱力)、肺の空気をしっかりと吐き出してから潜り始めることが、一番重要です。
ちなみに以前もお話ししましたが、口から息を吐くだけになったり、空気を吐き出そうと頑張ろうすればするほど、またすぐに息を吸ってしまいます。
肺を縮めてゆく感覚だと思ってください。
《参考》
12/21ブログ 『ダイビングの呼吸法』へ
無意識に足をバタバタさせてしまう
これも水泳で培ったスキルなのでしょうが、水面で浮くためには足をバタバタさせて浮力を作ろうとします。
BCDに空気が入っているので、自然に浮くのですが、逆にBCDで身体が不安定になるので、それを修正しようと足をバタバタさせている人も多いようです。
ただ、足をバタバタさせて、浮き上がろうと頑張っていては、決して潜降はできません。
下半身の力を抜くこと(=脱力)も、とても重要です。
膝が曲がってしまう
少しダイビングに慣れてくると、さすがに足はバタバタしませんが、下半身に力が入って、膝がキューと90°に曲がっている人を良く見かけます。
この状態でも人によっては潜降はできます。
ただ、多くの人は膝を90°に曲げていると、徐々に角度が小さくなって、そのうち前のめりの格好になってしまい、顔が水面に近づき、足も水面まで上がってしまって、最終的にはうつぶせの状態になることが多いです。
少しタンクに持たれるようなイメージ
当然ですが、うつぶせの状態になっては、潜降はできません。
まずは下半身の力を抜いてみてください。
下半身をだら~とさせる感じです。(=脱力)
そうすると、膝は自然に伸びてきます。
少しタンクに背をもたれるようにすると、身体が安定してさらに力が抜けやすくなります。
BCDをつけている時に身体を安定させる、ちょっとしたコツです。
上手に潜降するときのイメージ
フィン先が水底を向く
上手に下半身の力が抜けたら、フィン先を水底に向けるようにします。
足首を伸ばす感じです。
でも決して力はいれません。
フィン先が水底から引っ張られているようなイメージが持てるとなおよいです。
頭が下がって、水面に近づく
身体の力を抜くように息を吐いて、下半身の力が抜けると、頭が下がって、目線が水面に近づいてきます。
BCDの空気を抜く
目線が下がった時を狙って、BCDの空気を抜きます。
1本目でまだウエイト量がよくわかっていないときは、排気ボタンを押して、徐々に空気を抜きましょう。
もし2本目以降でウエイト量がわかっているようならば、BCDの右にあるダンプバルブを使って、BCDの空気を一気に抜くのもよい方法だと思います。
頭が水面からわずかに沈む
BCDの空気が完全に抜けて、適正なウエイト量ならば、頭が水中にしっかり沈むはずです。
そのあとまだ空気を吸わずに、「落ちる、落ちる」と思いながら、4~5秒息を吸わないでいると、ゆっくり潜降してゆくはずです。
頭が沈んだ後にすること
耳抜きはこまめに行いましょう
頭が水面下に沈んだら、こまめに耳抜きをしましょう。
浅いところで耳抜きのために深度を保つのは、なかなか難しいかもしれません。
ただご自身の耳の抜け具合は、経験で分かってくるものです。
早め早めに耳抜きをすることが大事だと思います。
《参考》
12/11ブログ 『耳抜きの方法』へ
12/13ブログ 『耳抜きの方法②』へ
12/15ブログ 『耳抜きの注意点』へ
約5m程度の深度まで沈むことができれば、あとは耳抜きもさほど苦労せずに潜降することができると思います。
潜降中の注意点
潜降がうまくできたとしても、バディやチームを見失っては何の意味もありません。
耳抜きに気がとられすぎたり、上を向きながら潜降する人がよくいますが、必ずバディやガイドの位置を確認しながら潜降しましょう。
また自分が下りて行く先がどうなっているのか?
必ず水底を確認しながら潜降することも大切だと思います。
なかなか潜降できない人のパターン
潜降のサインが出て、インフレーターホースから空気を抜いて、BCDの空気が完全になくなっているのに沈まない人がいます。
そんな沈まない人は決まって「ウエイトが少ないから」と思っているようですが、実はウエイトが理由でないことは多いです。
「沈まない、沈まない」と思っている
1つは常に「沈まない、沈まない」と思っていることです。
潜降は沈まないものだ、なんて勘違いしている人もいるかもしれません。
私がそうでした。
「沈まない、沈まない」と思っていると、身体緊張して、呼吸も早くなってしまいます。
息を吐いて沈んだつもりでも、水の中で息をぶくぶく吐いている人は意外と多いです。
沈む前に十分に肺の空気を捨てきっていない証拠です。
リラックス(=脱力)して、良いイメージ(「沈む、沈む」)を持つことが大事だと思います。
すぐに吸って、息を止めてしまう
2つ目は我慢しきれずに、すぐに息を吸ってしまうです。
せっかく頭が水面下まで沈んでも、ものの5秒もしない間に、すぐに大きく息を吸い込んでしまう人がいます。
これも緊張が原因だと思います。
ただ以前にもお話ししましたが、息を吸ってもすぐには浮かないので、浮く前にしっかり息を吐き出すことができれば、身体は決して浮かないはずです。
《参考》
12/23のブログ 『ダイビングの呼吸と浮力の関係』へ
これもリラックス(=脱力)して、良いイメージ(「沈む、沈む」)と思うことが大事だと思います。
ヘッドファーストはお勧めしません
よく潜降できないから、強引に頭から潜っていく、いわゆるヘッドファーストをする方がいます。
厚手のウエットスーツ(5㎜のロングウエットなど)や、レンタルウエットスーツ(3mmのスプリング)でも新品の物などを着ていると、ウエットスーツの浮力があって、なかなか沈みにくいものです。
ただヘッドファーストは力で沈んでいく方法です。
ある程度キック力で沈んだけれど、実はウエイトが足りていないということはありがちです。
また力で沈んでいけても、身体がリラックスしていなければ、呼吸が速くなってまた浮いてしまうということがよくあります。
さらにヘッドファーストは方向感覚を失いがちです。
バディやガイドがどこにいるのか、潜るのに一生懸命で、バディを見失って、焦ってしまうことも多いです。
その日の体調で、耳が抜けづらいということもあるかもしれません。
最悪、耳を傷めてしまうこともあります。
できるだけ足から潜降してゆくことが、なによりも安全だと考えます。
潜降が上手にできると、ダイビングは楽しくなる
冒頭にも書きましたが、潜降はダイビングスキルの中でも一番に難しいスキルだと思っています。
また潜降が上手にできると、ダイビングは楽しくなります。
潜り始め、スタートが上手に行くと、あとは自然と流れるように進んでゆくものです。
逆に潜降、スタートでもたつくと、あっという間に10分くらいが経ってしまい、ずるずると悪いイメージを引きずったまま、ダイビングをすることになりかねません。
最後に。潜降で大事なことは!
潜降で一番大事なのは、リラックス(=脱力)です。
そして、良いイメージ「沈む、沈む」と思いながら潜っていくことだと思います。
ぜひ試してみてください。